ご覧いただきありがとうございます、小林です。今回は、長年既婚者合コン界隈に参加されている男性へのインタビュー記事になりまして、前編後編でお届けします。
今回お話を伺った入江さん(44歳)は、既婚者合コン歴約7年。現在進行形で複数のセカンドパートナー的な女性との関係を持ちながらも、それでもなお既婚者合コン通いをやめられず、会場で鉢合わせ事故を複数起こすという、本人曰く「クズ男ムーブ」を日々具現化しているにもにも関わらずどこか憎めない愛嬌のあるイケオジです。開き直り具合が、むしろすがすがしい。
一見するとかなり危うい話にも聞こえるのですが、お話を伺っていくうちに見えてきたのは、「女性を求めていた」というよりも、既婚者合コンという空間そのものへの依存にも近い感覚でした。
とある事情により当面既婚者合コンに参加できなくなるとのことで、わりと赤裸々に語っていただきましたので、今回はその内容をお届けしたいと思います。
ーー本日はありがとうございます。まず率直にお聞きしたいのですが、現在すでに複数のセカンドパートナー的な女性がいらっしゃる状況でも、既婚者合コンへの参加を続ける理由って何でしょうか?
自分でもそこ、よく分からなくなってる部分あって。普通に考えたら、もう十分なんですよ。連絡取ってる女性もいるし、定期的に会う人もいるし。たぶん外から見たら「もう既婚者会に行く必要なくない?」って状態だと思います。LINEでやりとりしてる女性が減ってくると焦燥感にかられるというか。気づけばスマホで既婚者サークルの開催スケジュールをチェックしている自分がいるんです。仲良く出来る女性を新しく探したいというより、あの空間に行って、新しい女性とLINEを交換すること自体が目的化しているのだと思います。
ーー仲良く出来る女性を探したいというより、参加することとかLINEを交換すること自体が目的化している?
かなり近いと思います。たぶんですけど、既婚者合コンって慣れてくると「出会いの場」というより、定期的に承認を確認する場所になってくるんですよ。新しい女性と話して、「あ、自分まだイケるんだ」って確認する作業というか。参加して、女性と話して、LINE交換して帰る。その流れ自体が、半分ルーティンみたいになってます。普通の人は、良いパートナーが見つかったらその人と関係を維持することにリソースを割くじゃないですか。でも、僕の場合は「既婚者合コンに参加する」「新しい女性とマッチングする」というアクションそのものが、自分の行動原理になってしまっているというですね。
例えるなら、もうクローゼットに一生着きれないほどのブランド服があるのに、週末になるとセールの行列に並んで、新しい服を買い物カゴに入れないと気が済まない買い物依存症みたいな状態です。手に入れた服(女性)を大切にすること以上に、購入手続き(LINE交換)の瞬間に脳汁が出ちゃっているんですよね。
ーーなんだかよくわからない例えではありますが、目的が変わってくるというのは、長く参加している男女常連の方からよく聞く言葉です。最初は誰しも「日常を変えたい」「素敵な人と出会いたい」と思って一歩を踏み出すはずですが、それがどうしてそこまで依存的なものに変わっていくのでしょうか?
たぶんですけど、既婚者合コンって、ある程度場数を踏んで慣れてくると、お手軽にそして高確率で承認欲求を満たせる場所になってくるんですよ。何回も参加しているとパーティーの流れや、どういうスタンスでいれば女性が安心するか、既婚者女性が夫や生活に対してどんな不満を抱えていて、どんな言葉を求めているのかが分かるようになってきちゃうところあるんだと思うし。もちろん百戦百勝というわけにはいきませんが。
ーーわかります。
今までうまくいった会話の流れや設定でけっこういけちゃうんですよね。そうなると、会場に行く恐怖心がゼロになります。「あ、今日も俺はまだ男として市場価値があるんだ」「40代半ばになっても、20代後半や30代の綺麗な女性から『素敵ですね』って目で見てもらえるんだ」っていう、安易な自己肯定感を得るためのドーピング会場になるんです。
参加して、当たり障りのない魅力的な自分を演じて、女性と楽しく話して、LINEをスマートに交換して帰る。その一連の流れ自体が、自分の中のルーティンであり、精神安定剤になっていました。だから、目的は女性そのものというより、彼女たちの目を通じて映し出される「まだイケてる自分」を見て安心したかっただけなんだと思います。
ーーそれは、ある意味で非常に深い依存性を持っていますよね。日常の家庭や会社では絶対に得られない種類の刺激と承認ですから。
普通の生活をしていたら、44歳の既婚子持ちの男なんて、会社では中間管理職で上と下に挟まれてペコペコ頭を下げて、家では妻から「脱ぎっぱなしにしないで」「ゴミ出して」って言われるだけの存在じゃないですか。完全に「お父さん」であり「経済を支えるマシーン」ですよ。男としての性的な魅力なんて、日常生活では1ミリも求められないし、評価もされない。
それが、一歩あの薄暗いお洒落なラウンジや個室の会場に入って、参加費の1万円弱を払うだけで、一瞬にして「一人の魅力的な男性」としての舞台に立てるわけです。女性たちがこちらの話に耳を傾けてくれて、上目遣いで笑ってくれる。この強烈なギャップに一度脳が焼かれちゃうと、抜け出すのは並大抵のことじゃないです。刺激の基準がどんどんバグってくるんですよ。最初は女性と1対1で話すだけで緊張して手が震えていたのに、だんだん「LINE交換できて当たり前」、さらには「その日のうちに2軒目に誘えて当たり前」みたいに、ハードルがどんどん上がっていく。
そうやって自分の中に謎の余裕が生まれると、それが皮肉なことに、女性側からは「ガツガツしていなくて大人の余裕がある素敵な男性」に見えちゃうんだと思うんですよね。こっちはただ麻痺して冷めているだけなのに。そのせいで、わりと女性からの引きがさらに良くなって、余計にモテるようになるという悪循環……いや、当時は好循環だと思っていましたけど、そんな歪んだモテ期みたいなループに入っていっちゃうんです。
ーー余裕があるように見えるからさらにモテる、というのは非常にリアルな心理ですね。しかし、それだけ長く同じ界隈にいると、他の常連の参加者、特に女性の常連さんたちからは目を付けられたりしないのですか?
もちろん、めちゃくちゃ苦々しく見られている的空気は感じますよ。既婚者合コンって、女性側は常連化からのグループ化する人わりといるじゃないですか。特に人気のサークルだと、毎週のように来ている女性の顔ぶれって固定されてくるんですよ。彼女たちからすれば、僕なんて「またあのトカゲみたいなクズ男が来てるわ」って感じなわけです。「あの男、色んなところで同じ口説き文句言ってるから気をつけなよ」って、裏で女性同士のコミュニティで情報共有されているのも知っていました。実際、席替えでそういう常連の女性と一緒になると、あからさまに冷ややかな態度を取られたり、他の女性がいる前でチクリと刺されたりすることもありました。生きた心地がしない瞬間ですよね。
ーーそういう包囲網がある中で、どうやって新しいマッチングを成立させていたのですか?
常連の女性たちには絶対に手を出さないし、極力関わらないようにする。全体でやる2次会みたいなのには絶対参加しないで、パーティー終わったら2人で抜け出せそうな人だけしか狙わない。僕がターゲットにしていたのは、明確に「初参加、あるいはまだ2〜3回目の初心者女性」だけでした。受付の段階や、最初の自己紹介のニュアンスで、その人が場慣れしているかどうかは一発で分かります。初参加の女性は、独特の緊張感を持っています。不安がオーラとして出ているんです。僕はそういう女性の席に回ってきたときだけ、フルパワーで「優しくて紳士的で、既婚者合コンの怪しさを中和してくれる安心な男」を演じるわけです。常連の女性たちが遠くから冷たい視線を送ってきているのを感じつつも、初参加の女性からLINEをかっさらっていく。最高にスリリングで、ゲームとして完成されてるんでやめられないんですよね。
ーーなるほど…。そして今回、その状態で事件が起きたわけですね。
~~後編に続く
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